134. 認知症カフェ、運営のカギは「連携」「演出」・研究員招き公開講座㊦

認知症カフェの意義や持続可能な運営を考えようと、いわき市でこのほど開かれた公開講座「認知症カフェを知ろう~継続と運営のアイデア」(主催:福島県小規模多機能型居宅介護事業連絡会)。講師の認知症介護研究・研修センターの主任研修研究員の矢吹知之さんが、イギリスとオランダで行った認知症カフェの実地調査を交え、両国の認知症カフェの違いや、自身のカフェ運営の例を紹介しました。多団体との共同運営や、カフェらしい学びの場の演出など、実践的な継続のアイデアが披露されました。2日の投稿に続く最終回。

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● イギリスはデイサービス型
イギリスの認知症カフェは、一般的に昼開催。午前11時に始まり、45分後に認知症患者がボールなどでアクティビティーを、家族が介護の悩みを語るピアカウンセリングを、それぞれグループに分かれて行います。午後12時45分に昼食、1時間後に解散します。さらに、プロサッカーのクラブハウスで開く認知症カフェもあり、サッカー談議や応援歌、試合のビデオ鑑賞などで楽しみます。矢吹さんは「イギリスは日本のようなデイサービスがない」と話し、レクリエーションや昼食を楽しむデイサービスのようなプログラムが盛り込まれているという。

● オランダはカフェを楽しむ学びの場
一方、オランダは夜開催が一般的。午後7時にオープンし、30分後に健康や介護に関するミニ講話が始まります。午後8時からまたカフェを楽しみ、質問コーナーを経て午後9時に解散します。矢吹さんは、オランダの特徴に「演出」を挙げます。上座、下座がなく対等に座れる円卓、ミニ講話ではスライドを使わず勉強会の雰囲気を出さない、リラックスできるオルガンなどの生演奏、ワインを出すなど。開場後は「カフェを始めます」というアナウンスはなく、バラバラに来場者が訪れ、専門職者らがテーブルに誘導。雑談中、専門職が来場者の疑問に気づいたら円卓上のメモに記し、質問コーナーで共有します。認知症のパンフレットなどが並ぶ情報コーナーもあり、介護支援専門員(ケアマネジャー)が助言。カフェの雰囲気を守り、学びの場を演出しています。

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● 年間プログラムの構成に安定感
20年以上認知症カフェが続いているオランダ。そのプログラム構成の安定感も特徴だといいます。カフェは年間で計10回開催。1回のカフェで「ウェルカムタイム」「ミニ講話」「カフェタイム」「ディスカッション(Q&A)」「解散」をそれぞれ30分ずつ行います。参加者から「歌いたい」などの要望を受けても、基本的にレクリエーションを設けず構成は変えません。レクリエーションがメーンになると、参加者の目的が歌やゲームになり、新しい人が参加しにくくなるという。マンネリ化を防ぐためには、講師やテーマを変えて工夫すると矢吹さんは解説します。このほか、多事業所による共同運営も学ぶべき点だと挙げます。1事業所での運営では、止めたら終わり、スタッフの負担増、講話の講師が限定されるなどのデメリットがあります。多事業所の運営は広報活動をより幅広く展開でき、他事業所との交流でモチベーションにもつながると、そのメリットを挙げました。

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● 認知症カフェの目的を明確に
矢吹さんは「『認知症』という名前を入れたくない」という意見には、主催者が正しく目的を理解し地域にしっかりと説明しなければならないと答えます。「認知症『の人が集まる』カフェ」ではなく、「認知症『を学び理解する』カフェ」、「認知症『になっても暮らしやすい地域をつくる』カフェ」などと、きちんと目的を明確にし、伝えなければいけません。「サロンと一緒」という誤解では、認知症カフェは認知症者、家族、専門職らが役割を外して対等に参加する学びの場と説明しました。

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↑矢吹さんが運営に携わる「土曜の音楽カフェ」のチラシ

● オランダスタイルを導入した自身の運営例
矢吹さんは、仙台市内で認知症カフェ運営に携わっています。名前は「土曜の音楽カフェ」。東北福祉大のカフェで、毎月第1土曜、午後1時半から2時間開催し、毎回70~90人来場します。内容は、音楽を聴きながらのカフェタイム、ミニ講話、Q&Aで、オランダスタイルを導入。運営は、行政、大学、町内会、地域包括支援センターなど数多くの団体が共同で行います。会場は、丸テーブル、専門職がいる情報コーナー、音楽ライブで演出。人を集めるため、半年分の講座予定を載せたチラシ、看板、ホームページでPRし、「主催者」ではなく「企画者」と出して敷居を下げる工夫も挙げました。継続するため、「カフェ」後にコアメンバーの会議を開かず、別日に開くことで、メンバー同士が顔を合わせる回数を増やし、交流を深めるといいます。さらに、会場準備で1日が終わり疲れないよう、すぐ撤収するようにします。

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↑いわき市が直轄で運営しているオレンジカフェ以和貴=2017年7月7日、いわき市のスカイストア

● 認知症カフェの3タイプ
認知症カフェを3タイプに分類します。一つは、オランダのような情報提供や学びをメーンとしたカフェ。二つ目は、特にプログラムはないが専門職の相談ができる居場所をメーンとしたカフェ。三つ目は、イギリスのような、認知症者とその家族のサポートを主に目的としたカフェ。最後、矢吹さんは、認知症カフェの目的や必要性を参加者や地域に広く浸透させることが重要とアドバイス。さらに、運営主体や方法、内容を明確にしないと長続きしないため、目的を明確にし、そのための手段、仕掛けを考える大切さも助言しました。

【認知症カフェ参考資料】
<「認知症カフェの実態に関する調査研究事業」報告書>
認知症介護情報ネットワークホームページより:file:///C:/Users/nishi001/Downloads/sh28_cafe_doc%20(3).pdf

【いわき市内の介護や健康相談が無料でできる場所(開催月によって日時変更の可能性があるので要確認)】
<平地区>
「オレンジカフェ以和貴・イトーヨーカ堂(2017年9月より場所が「スカイストア」から「イトーヨーカ堂」に、開催日が「毎月第一金曜日」から「毎月第二火曜日」にそれぞれ変更)】
場所:イトーヨーカ堂平店2階(いわき市平六町目6-2)
日にち:毎月第二火曜日
時間:午前11時~午後3時
問い合わせ:0246-22-7465(市地域包括ケア推進課)
記事1:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-131.html (2017年3月6日投稿)
記事2:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-228.html(2017年7月7日投稿)

「ひなたぼっこ2(2017年9月より場所が「スカイストア」から「さわきや」に変更)」
場所:さわきや(福島県いわき市平中町23-3)
日にち:毎月第1、第2の木曜から土曜日
時間:午前10時~午後3時
問い合わせ:フェイスブック(https://www.facebook.com/iwaki.hinatabokko/
記事:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-161.html (2017年4月15日投稿)

「高齢者を支援する若者の会」
日にち:毎月第1土曜日
時間:午前10時半から3時間ほど
場所:レストラン吉福(福島県いわき市平字東町5-1)
参加費:無料
問い合わせ:0246-38-5650(医療法人華頂会訪問リハビリステーションいわき事業所)
記事1:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-154.html 「定着化へ活動続ける『若者の会』」(2017年4月6日投稿)
記事2:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-226.html 「定着へ前進 『若者の会』」(2017年7月5日投稿)

「オレンジカフェ以和貴・デイサービス遊」
場所:いわき市平下神谷字仲田58
日にち:毎月第四金曜日
時間:午後4時~7時
問い合わせ:0246-88-6525

<内郷地区>
「オレンジカフェ以和貴・ラウンジ ミュウ」
場所:市総合保健福祉センター(いわき市内郷高坂町四方木田191)
日にち:毎月第四火曜日
時間:午前11時~午後2時
問い合わせ:0246-45-2237(かいごステーションさざんか)
記事:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-220.html (2017年6月27日投稿)

<四倉地区>
「オレンジカフェ以和貴・喫茶レオ」
場所:喫茶レオ(いわき市四倉町東四丁目27)
日にち:毎月第四木曜日
時間:午後1時半~3時半
問い合わせ:0246-32-6381
記事:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-173.html (2017年4月27日投稿)

<小名浜地区>
「オレンジカフェ以和貴・鹿島ショッピングセンターエブリア」
場所:いわき市鹿島町米田日渡5
日にち:毎月第三木曜日
時間:午前11時から午後2時
問い合わせ:0246-58-2300(小名浜ときわ苑) 0246-58-8271(かしま荘)
記事:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-212.html (2017年6月20日投稿)

「オレンジカフェ以和貴・サニーポート小名浜」
場所:いわき市小名浜字神成塚133-1
日にち:毎月第三金曜日
時間:午後2時~4時
問い合わせ:0246-92-3321

<湯本地区>
「コミュニティーカフェ いわさき」
場所:いわさき荘(いわき市常磐上湯長谷町上ノ台88-1)
日にち:毎月第3木曜日
時間:午前10時から正午
問い合わせ:0246-44-5660
記事:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-213.html (2017年6月21日投稿)

「オレンジカフェ以和貴・サンライフゆもと」
場所:いわき市常磐藤原町大畑1
日にち:毎月第四木曜日
時間:午後1時半~4時
問い合わせ:0246-43-6116

【いわき市のオレンジカフェページ】
http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1454293773647/index.html

【オレンジカフェを知る参考記事】
「オレンジカフェ以和貴・今後の課題は?」 2017年3月14日投稿:http://ymciwakikai.blog.fc2.com/blog-entry-138.html


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